2016年第1回(2016年6月12日)から英検が変わりました。
今回の変更の中でも特に大きい変更は、「英検2級にライティングが入る」ということでしょう。
このライティングはもちろんマークシートではなく、自分の考えを英文で書くことが求められるものです。
なおライティングが加わるため、並び替え問題(旧試験の大問2)がなくなり、長文の語句補充問題数(旧試験の大問3)が2問減って6問になります。
今回の記事ではこの2級のライティングの対策についてご説明します。
と、その前に今後の英語学習のヒントになりますので、ちょっとだけ今回の変更の背景に触れます。
◎なぜ変わるのか?
今回の変更の背景にあるのは、2020年の学習指導要領の大改訂、また大学入試改革でしょう。
英語に関して文科省が打ち出していることをざっくり簡単にまとめますと、
・英語に力をもっと入れて、より高いレベルまで、かつ4技能バランスよく育てましょう。
・入試でも4技能を測ることができるようにしましょう。
・そのために英語の外部試験(英検とか)をもっと活用していきましょう。
そこで英検もしっかりと4技能を測ることができる試験にしましょうということです。
また英検は「今後、準2級や3級にもライティングを入れていく」とも公言しています。
さて、この2級のライティング、どんな問題が出題されるのでしょうか?
英検がサンプル問題を出していますので、そちらを確認しつつ、対策の仕方について順番にご説明します。
◎日本語でも書くことが難しい英検2級ライティング
早速、問題をみてみましょう。
「ここんところネットでものを買う人いるよね。将来こういう人って増えると思う?」という質問に80語〜100語の英語で答えてください
という問題。
日本語でも答えるのが難しい!と思ったのではないでしょうか。
このような質問に対して、自分の意見をまとめて書く機会ってほぼ皆無ですよね。
「何から書けばいいのかわからない。。。」
大丈夫です。
こういう自分の意見を書くタイプの問題にはちゃんと書き方というものがあります。
この書き方を知っているとの知らないのとでは、書きやすさが全然違います。
じゃあどうすればいいのか?
まずは配点から見ていきましょう。
この配点にライティング攻略のヒントが隠されています。
◎配点から見るライティング攻略の基本戦略
全体で84点満点、ライティングは16点満点と予想されます。
ライティングの点数の内訳は
・内容4点満点(”TOPIC”の質問に対応した内容になっているか)
・構成4点満点(構成が正しいか)
・語彙4点満点(適切な単語が用いられているか)
・文法4点満点(適切な文法が用いられているか)
これまでの英検2級の合格ラインが60%前後ということを考えると、ライティングでは10点を取ることが最初の目標となります。
そこで狙う得点の内訳としては
・内容2点
・構成3点
・語彙2点
・文法3点
といったところでしょうか。
どういうことかと言いますと、意識することはずばり、
「正しい英文を正しい構成で書く」
これにつきます。
「内容の論理的な整合性や主張の正しさ」にこだわりすぎたり、「難しい単語や凝った表現」は用いる必要がないということです。
たしかにこういうことを考えることも大切なので、余裕があれば追い求めるべきです。
しかしどのような内容が出題されるのかは、試験当日、問題用紙を開いてみるまでわかりません。
さらに制限時間が限られており、あまり厳密に難しく考えすぎると逆に書けなくなってしまいます。
その前にできることとして、まずは簡単な英文でもいいので正しい英文で、また伝わるように正しい構成で書きましょうということです。
これが基本戦略となります。
◎合格点を取る3つのコツ
【コツ1】型にそって書く
【コツ2】自信のある単語・文法を用いて簡単でもいいので正しい英文を書く
【コツ3】論理的整合性を気にしすぎない(自分が思っていないことでもOK!)
基本戦略は「正しい英文を正しい構成で書く」でした。それによってまずは10点を目指す。
それぞれのコツを順番にご説明します。
◎【コツ1】型にそって書く
英語で自分の意見を書く際には「型」があります。
この型に沿って書くことで、わかりやすい構成となるのです。
その型はずばりコレ!
なお( )内はあくまで目安であって、絶対これでなければいけないということではないです。
ポイントは
①最初にagree(賛成)/disagree(反対)をどちらか決めてはっきりと主張すること。
②2つの各理由について、それを支持する理由か具体例(自分の話でOK)を必ずつけること。
③「再主張」は主張を繰り返すが、全く同じ文ではなく、同等の内容を別の表現で書くこと。
具体例で見てみましょう。
こちらの例題を見てみてください。
こんな感じで型にそった答えを書いてみます。
(解答例はESLクラブの小学生の生徒が作成した解答です。及第点ではありますが、まだ修正点があることをご容赦ください。)
[例題]
Today, many people spend their vacations overseas. Do you think the number of these people will increase in the future?
(ここんところ多くの人が海外で休暇を過ごすよね。こういう人って将来増えると思う?)
[解答例]
【主張】I think that the number of people that spend their vacations overseas will increase in the future. (17語)
There are two reasons.
【理由1】First of all, more people are interested in learning about different cultures. (12語)
【理由1を支持する具定例】For example, I read many books and watch many movies about different cultures, because they are interesting.(17語)
【理由2】Also, people have a chance to speak foreign languages overseas. (10語)
【理由2を支持する具体例】For instance, many students spend vacations overseas, so they can practice speaking a foreign language. (15語)
【再主張】Because of all the reasons above, I think that more people will spend their vacations overseas in the future.(19語)
この解答例が上記のポイント3つを満たしていることを確認してみてください。
いかがでしょうか?
型に沿って書くことのイメージがわいてきたのではないでしょうか。
実は、上記はある型(テンプレート)に沿って書いたもの。
このテンプレートはシンプルで使いやすく、かつ文字数も稼げるようになっている、非常に便利で強力なもの。
困ったら、これを使っちゃってください!
(これだけでも構成点はけっこういくんじゃないかなと。)
このテンプレートの単語だけですでに24語あります。
あとは型にそってそれぞれの文をうめていくように、56語で6文つくる。
書ける気がしてきませんか?
◎【コツ2】自信のある単語・文法を用いて簡単でもいいので正しい英文を書く
問題の内容が難しいからといって、難しい言葉で意見を書く必要はありません。
むしろ
「難しい単語で複雑な文を書くと、逆にわかりにくくなってしまう」
と思うぐらいがちょうどいい
です。
簡単なものでいいので、極力自信のある単語、自信のある言い回しを用いて書くようにしましょう。
なお、実は前述の「型」のように、英語のライティングにおいてはちょっとした作法があります。
単語や表現についての作法
・同じ言い回しを使わないようにする
(最低限、連続する2文で同じ表現を使わないようにし、同義語等を用いて言い換えるようにすること。)
文法についての作法
・省略形(can’tやdon’t)は用いない
(ライティングでは省略形を用いないのが基本。can not/do notと略さず書く。字数稼ぎにもなりますしね。)
また文法については下記の点が多いミスとなりますので、注意しながら書いてみましょう。
・時制のミス(基本は現在形で。時制の一致を忘れない)
・数のミス(単数なのか複数なのか、特に代名詞と三・単・現のsに注意)
・冠詞のつけ忘れ(a/an/theのつけ忘れに注意)
・Becauseではじまる不完全な文がある(becauseは接続詞であり、2文をつなぐもの)
意識しすぎて何も書かないのは本末転倒です。
まずは最後まで自分で英文を書いてみて、上記の視点から修正を入れて書き直してみましょう。
◎【コツ3】論理的整合性を気にしすぎない
書いている内容の正しさに注意しすぎて、何も書けなくなってしまう生徒がいます。
内容として間違ったことを書いてはいけないと悩み、日本語でも意見が出てこなくなってしまう。
そうなると英語でももちろん書けなくなってしまいます。
論理的な整合性が厳密に見られることはありません。
確かめようがないですし。
「うん、まあそういう意見もあるよね」程度の意見で大丈夫です。
「英語で自分の意見を表明できるか?という試験であって、内容の正しい間違っているを判断する試験ではない」
と考えて、とにかく意見を書きましょう!
・いかに幼稚な意見でも構わない。
(むしろ幼稚園児や小学生に自分の意見を話すことを想定したほうが英語は書きやすいです。)
・自分が思っていないことでも構わない。
(嘘でも全然OKです。書かないより断然マシです。)
・一度立場を決めて書き始めたら、頭に浮かんでくる反論は無視する。
(書き始めたら構成の正しさと英文の正しさに集中します。)
ざっと考えてみて、2つ理由が書けそうなものが浮かんだ方の立場を取って、agree(賛成)/disagree(反対)を決めたらどんどん書きましょう。
ただし英語としての正しさにはしっかり注意を向けて!
いかがでしたでしょうか。
これまでこのようなまとまった意見を英語で書くことを求められることはほとんどないと、何を書けばいいのかわからないですよね。
また問題の内容から難しく考えてしまいがちです。
今回の記事を参考に「正しい英文を正しい構成で書く」ことを意識して、どんどん練習してみてください。
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